今回は「休憩時間の基本」について解説します。
休憩時間についても労働時間同様に労働基準法で規定があります。
★休憩時間の長さ
休憩時間の長さは労働基準法で労働時間の長さごとに以下の通り定められています。
労働時間 | 休憩時間 |
6時間以下 | 与えなくてもよい |
6時間を超えて8時間以下 | 少なくとも45分あたえなければならない。 |
8時間を超える | 少なくとも60分 |
法定労働時間は8時間ですので、通常はどの企業でも45分の休憩を与えれば労働基準法の要件をみたしていることになります。しかし、休憩1時間という企業が多いのはなぜでしょう?
それはほとんどの企業で時間外労働を考慮しているからです。時間外労働を考慮すれば、8時間を超えることが多くなります。したがって、ほとんどの企業で1時間の休憩を導入しています。ただし、お昼に1時間だけとなると、労働者はそのあと残業も含めてぶっ続けで労働しなければならないため、お昼に50分、終業時刻から10分というように休憩を分散するほうが働く者への負担が減るので休憩時間を設定する際は注意しましょう。
★労働時間の途中で与えること
上記の休憩は必ず労働時間の途中に与えなければなりません。したがって始業の直前や就業の直後の休憩は労働基準法でいう休憩に該当しません。ただし、時間外労働をすることによって休憩時間が労働時間の途中となる場合は休憩時間にカウントされます。ただし、時間外労働は必ず発生するものではありませんので所定労働時間が6時間を超える場合は、必ず所定労働時間の途中に休憩をはさむようにしましょう。
所定労働時間が6時間超え8時間以下で 休憩時間45分のためOK |
午前 3時間 |
休憩 45分 |
午後 4時間30分 |
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労働時間が6時間超え8時間以下で 労働時間途中の休憩が35分のためNG |
休憩 10分 |
午前 3時間 |
休憩 35分 |
午後 4時間30分 |
休憩 10分 |
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労働時間が8時間超えで 休憩時間65分のためOK |
午前 3時間 |
休憩 45分 |
午後 4時間30分 |
休憩 10分 |
残業 1時間 |
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労働時間が8時間超えだが 休憩が50分のためNG |
午前 3時間 |
休憩 45分 |
午後 4時間30分 |
休憩 5分 |
残業 1時間 |
★一斉付与の原則
労働基準法で労働時間は「一斉に与えなければならない」とされています。したがって、原則休憩は一斉に与えなければなりません。しかし、業種や業務によっては一斉に休憩をとれないケースがあります。例えば、休憩時間も電話番が必要だったり、工場の生産ラインを休憩時間も止められないようば場合です。このため、以下のような場合は一斉休憩をさせなくてもよいとされます。
労使協定を結んだ場合 | 労使による協定を締結することで一斉に休憩を与える必要はなくなる |
一斉休憩の適用除外職種に該当する場合 | 運輸交通業、商業、金融・保険業、映画・演劇業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署は適用除外 |
★自由利用の原則
休憩は原則として自由に利用させなければなりません。したがって、休憩時間中に電話番をさせるなどのを指示することはできません。ただし、休憩時間の自由利用について、事業場の規律保持のために必要な制限を加えることは、休憩の目的を損なわない限り差し支えない(旧労働省行政解釈昭22.9.13 基発第17号)とされています。
★参考条文と通達
※参考「労働基準法 条文」
(休憩)
第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
② 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。 ③ 使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。 |
※参考「通達 基発第17号 昭和22年9月13日」
(一) 休憩時間とは単に作業に従事しない手持時間を含まず労働者び権利として労働から離れることを保障されて居る時間の意であつて、その他の拘束時間は労働時間として取り扱うこと。
(二) 第二項の許可は概ね次の基準によつて取り扱うこと。
(1) 交替制によつて労働させる場合は許可すること。
(2) 汽罐士その他危害防止上必要なものについては許可すること。
(3) 同一事業場内でも作業場を異にする場合で業務の運営上必要なものは許可すること。
(三) 休憩時間の利用について事業場の規律保持上必要な制限を加へることは休憩の目的を害さない限り差し支へないこと。
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以上、今回は休憩についてでした。もし、貴社の休憩を見直して問題がありそうなときは、以上の点に注意して休憩を設定しましょう。
※労働時間関係の解説は以下参照ください。
1.高まる労働時間管理の重要性 2.法定労働時間と所定労働時間 3.時間外労働の基本 4.割増賃金 5.休憩の基本 6.休日の基本 7.振替休日と代休 8.労働時間・休憩・休日の適用除外 9.名ばかり管理職 10.年次有給休暇の基本 |
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