【給与計算⑤】給与の支払い

今回は給与の支払いについて説明します。

★給与の支払い方法
給与の支払い方法は「給与計算の手順」で示したように以下の方法があります。

手渡し 封筒に現金を入れて手渡しします。給与をもらった実感がもっとも湧く方法です。ただし、現金の持ち運びは紛失や盗難のリスクがあるため、現在はあまり採用されていません。
銀行普通振り込み 銀行で振り込み手続きを行います。社員1人1人について振り込み手続きをするため、人数が多い場合は手間がかかります。ただし、給与支給日当日でも対応できるというメリットがあります。
給与総合振り込み 給与用の振り込み方法です。専用の用紙に社員の振り込み一覧を記入して銀行に渡せば簡単に振り込み手続きができます。用紙は給与計算ソフトで作成することもできます。ただし、銀行によって締め日があるため注意が必要です。
インターネットバンキング インターネットバンキングを申し込めば、画面上で振り込み処理ができます。給与計算ソフトによっては振り込み用のデータも作成できるので、そのデータを取り込むだけで振り込み手続きができます。ただし、インターネットバンキングの手数料が毎月発生します。また、簡単にできる半面、ミスにも気付きにくいので注意が必要です。

今は銀行振込を採用している会社がほとんどです。従業員数が多い会社では銀行の「総合振込/給与振込サービス」を利用すれば簡単に手続きができます。手数料も同じ銀行宛なら無料という金融機関が多いです。インターネットバンキングは自社で手続きができるため利便性が高いサービスです。ただし、パソコン操作に慣れている必要があります。

★給与支払い時の留意点
給与の支払いで何と言っても注意しなければならないのが、労働基準法に定められている賃金(給与)支払いの5原則です。

原則 内容 例外
通貨払いの原則 賃金は必ず通貨で支払わなければなりません。 法令や労働協約に定めのある現物給与は例外的に認められます。例えば社宅や寮、食事等です。
直接払いの原則 賃金は直接従業員に支払わなければなりません。委任を受けた代理人や未成年者の親権者や後見人が未成年者の賃金を代わって受け取ることも禁止されています。 労働者の同意があれば、労働者が指定する金融機関へその全額を振り込むことも可能です。
全額払いの原則 賃金は必ず全額支払わなければなりません。ただし右記のものを控除することは認められます。 法令に定めのあるもの(所得税や社会保険料など)
労使協定で定めたもの(財形貯蓄や社宅家賃など)
一定期日払いの原則 賃金は一定の期日を定めて支払わなければなりません。 ・臨時支給の賃金
・賞与
・査定期間が1カ月を超える場合の皆勤手当・能率手当など
毎月1回以上払いの原則 賃金は毎月1回以上支払わなければなりません。

この5原則は必ず守らなければなりません。したがって、以下のような行為はできません。
×基本給など毎月支給が決まっている賃金を商品券やQUOカード、製品等で支払うこと。
×給与を従業員の家族や親族などに渡すこと。
×従業員の同意を得ずに銀行振込すること。
×給与振込の場合、会社が振込口座を強制指定すること。
×給与を分割支給すること。
×給与の支給日が月によって異なること(会社休日の前後にずれるのは構いません。)。
×給与の支払いが1年に1回、2か月1回など毎月支給されないこと。

給与計算は計算だけではなく、支払いに関してもこのように法律の定めがありますので注意しましょう。

賃金・給与計算に関する情報は以下参照

◎賃金(給与)の基本
◎賃金(給与)の決定方法
◎給与の全体像
◎給与計算の手順
◎給与計算前の情報収集
◎給与計算の実施
◎給与の支払い
◎給与計算後の届出
◎税金、社会保険料の支払い

◎給与計算のアウトソーシング(代行委託)

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代表 森崎和敏