労働時間の管理をするためには、労働時間の基礎を把握していなければなりません。今回は、労働時間の基本事項である「法定労働時間」と「所定労働時間」を解説します。
★法定労働時間と所定労働時間
皆様はご自分の経営している会社、または勤めている会社の所定労働時間が何時間がすぐに浮かびますか。また、所定労働時間とは別に、労働基準法で定めれている法定労働時間が何時間かご存知ですか。
意外と理解されていないので「法定労働時間」と「所定労働時間」の違いです。法定労働時間と所定労働時間の違いは以下の通りです。
法定労働時間 | 労働基準法で定められている労働時間です。1日8時間、1週間40時間が限度です。(ただし、10人未満の商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業は1週間44時間が限度です)。原則として、事業主は従業員にこの時間を超えて労働させることはできません。 |
所定労働時間 | 企業が任意に設定する労働時間です。通常は1日○時間と日単位で定めます。法定労働時間を超えた設定はできません。法定労働時間を超える所定労働時間を設定した場合は法定労働時間(1日8時間)が所定労働時間となります。 |
※参考「労働基準法」
(労働時間)
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
○2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
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下図は法定労働時間と所定労働時間を図示したものです。例えば午前9時が始業時刻の会社では1時間の休憩時かがあるとした場合、就業時刻は18時までにしなければなりません。2列目の図のように17時が終業時刻の場合は、1時間の休憩を差し引いて労働時間が7時間となるので、法律的に認められます。
事業主は原則として、法定労働時間を超えて労働させることはできません。しかし、「時間外労働に関する協定(36協定)」を従業員代表と締結し、労働基準監督署に届け出れば時間外労働をさせることができます(時間外労働については後日詳説します)。
★割増賃金の対象時間
労働基準法では「法定労働時間」を超える時間外労働をさせた場合、割増賃金の支払いをしなければならないとしています。したがって、従業員の労働時間が所定労働時間を超えても法定労働時間を越えなければ、割増賃金を支払う必要はありません。ただし、通常の賃金を時間割した賃金を支払う必要は生じます。
法定労働時間 | 法定労働時間 | ||
実際の労働時間 | 所定労働時間 | 法定内残業 | 法定外残業 |
通常の賃金 | 要 | 要 | 不要 |
割増賃金 |
不要 |
不要 | 要 |
以上、法定労働時間と所定労働時間について解説しました。
※労働時間関係の解説は以下参照ください。
1.高まる労働時間管理の重要性 2.法定労働時間と所定労働時間 3.時間外労働の基本 4.割増賃金 5.休憩の基本 6.休日の基本 7.振替休日と代休 8.労働時間・休憩・休日の適用除外 9.名ばかり管理職 10.年次有給休暇の基本 |
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