今回は、振替休日と代休について解説します。これについては経営者や人事担当者からよく質問を受ける部分です。正確に理解されている方は少ないのでここでその内容を詳述します。
★振替休日
あらかじめ定めてある休日を、事前の手続により他の労働日と交換することです。交換した日に労働しても休日労働にはなりません。したがって、休日労働手当の支払いも不要です。
※振替休日をするための要件 ①就業規則等に振替休日の規定をする。 ②振替日を事前に特定 ③振替日は4週の範囲内 ④遅くとも前日の勤務時間終了までに通知 |
振替休日の大きなメリットは人件費の高騰を防ぐことにあります。
※振替休日を実施した場合の労働に関る賃金
同一週内で振替えた場合 | 通常の賃金の支払いで足ります。 |
週をまたがって振り替えた場合 | 振り替えた結果、週の法定労働時間を超えた場合は、時間外労働に対する割増賃金の支払いが必要です。 |
★代休
休日に労働をさせたときに、事後に代りの休日を与えることです。休日労働の事実は変わらないため、休日労働に関る賃金の支払いが必要です。
代休を実施する場合、振替休日のような要件は特にありません。ただし、制度として実施する場合は就業規則等に規定する必要があります。
★振替休日と代休の対比
振替休日と代休の大きな違いは「事前の手続き」か、「事後の手続き」かということと、休日労働手当が必要か不要かという部分です。
項目 | 振替休日 | 代休 |
手続き | 事前に振替の手続きをおこない休日と労働日を交換 | 休日労働に対して事後に変わりの休日を付与 |
賃金 | 休日労働手当の支払いは不要。ただし、時間外労働に該当した場合は時間外労働手当が必要。 | 休日労働に対して休日労働手当の支払いが必要。 |
振替休日の制度を導入していても、事前に振替の手続きをしなければ振替休日に該当しません。また、事前に振替休日をする旨を告知しても、実際に代わりの休みの日を休日に労働した後に指定した場合も振替休日には該当せずに代休となりますのでご注意ください。
以上、振替休日と代休の説明でした。
※労働時間関係の解説は以下参照ください。
1.高まる労働時間管理の重要性 2.法定労働時間と所定労働時間 3.時間外労働の基本 4.割増賃金 5.休憩の基本 6.休日の基本 7.振替休日と代休 8.労働時間・休憩・休日の適用除外 9.名ばかり管理職 10.年次有給休暇の基本 |
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