日本生産性本部が新入社員を対象に行っている調査の結果を発表しました。これにより、新入社員の意識が生活の安定を重視していることがわかりました。
生産性本部は1991年から、新卒で4月に入社した新人に対して春と秋に調査をし、意識変化を調べています。今回は昨年10から11月に全国で376人からの回答を得ました。
★食べているだけの収入で十分
昨春入社の新入社員のうち47.1%の人が「人より多くの賃金を得なくても食べていけるだけの収入があれば十分だ」と考えていることがわかりました。
「人より多くの賃金を得なくても食べていけるだけの収入があれば十分だ」との問いに「そう思う」と答えたのは47.1%でした。
「そう思わない」と答えた割合は52.9%でそう思うより若干多いが、「そう思う」人は2006年にこの問いを始めて以来、春秋を通じて最高の割合となりました。 春の調査時と比べて差が10ポイント以上開き、上昇幅も最大でした(春は36.2%)。現在の若者は厳しい経済情勢を認識し、人より多い給与をもらうことより安定した生活を送ることへの意識が高くなっているようです。
★年功給を支持
「年齢・経験を重視して給与が上がるシステム」を希望する人の割合は48.1%でした。これも調査開始以来最高の数字です。従来の日本の典型的な給与制度である「年功序列型」の給与体系は、雇用の流動化や成果主義の導入により減少傾向にあります。しかし、今回の調査対象の新入社員は年功的給与を支持しているようです。この結果からも若手の価値観が安定志向に傾いていることがうかがえます。
★安定志向にマッチした制度の検討も
多くの企業が成果主義の導入を進め、合理的な賃金制度を築いている一方で、今後の業務活動の担い手となる新入社員が安定志向に傾いている傾向は人事側も無視できないことでしょう。年功給は「やる気のある若手のモチベーションを下げる」、「誰でも同じ給与がもらえるのは不合理」という考え方から成果主義の導入が進んでいましたが、これからは「安定志向の若者も多くなっている」ということも人事制度の構築時に考慮しなければなりません。
あおいマネジメントサービス
代表 森崎和敏