変形労働時間制が認められずに残業代支払命令

4月7日東京地裁で、有名飲食チェーン店の「洋麺屋五右衛門」のアルバイト店員が、変形労働時間制を悪用されたとして運用会社の日本レストランシステムに残業代の支払いを求めた裁判の判決がありました。判決では、日本レストランシステムに対して残業代や賦課金などあわせて12万3,480円の支払い命令が下されました。

変形労働時間制は、季節的繁閑の差がある事業で利用される制度です。1年もしくは1カ月を単位として、その期間の週平均労働時間が法定労働時間を超えなければ、特定の日や週の労働時間を通常の法定労働時間より長く設定できる制度です。この制度を導入するには、様々な要件があり、その1つとして事前に労働する日や労働時間を労働者に周知する必要があります。

同アルバイト店員が、洋食屋五右衛門から十分な説明を受けないまま、変形労働時間制を適用され、また、1カ月単位で決められるはずのシフトが半月単位でしか決められていなかったこと等を主張し、判決では変形労働時間制として認められないということで、残業代の支払いが命じられました。

変形労働時間制は過剰な時間外労働の削減や、繁閑の差をならすために大変有効な制度です。しかし、適正な運用がされていなければこのように問題になるケースも少なくありません。

時々、自社が変形労働時間制を導入していたことを知らなかったという経営者を見かけることがあります。近年は、労働者の権利主張が強まり、ちょっとした運用の手違いや違法性に対して、まるで会社が悪人かのように主張してくるような事件が少なくありません。そもそも優秀な社員や会社が必要とする社員は、会社の経営状況に影響を与えるような訴えはおこしません。せっかく築きあげた会社を、権利主張ばかりする理解のない労働者に潰されないように、社内の労務管理体制を法律にそったものにするように、もう一度確認しましょう。

あおいマネジメントサービス
代表 森崎和敏

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