【労務管理】増加する労使トラブル!労務管理の必要性高まる

★増加する労使トラブル
近年、急激に労使トラブルが増加しています。
厚生労働省がまとめた調査結果によると、総合労働相談コーナーへの相談件数は平成13年に個別労働紛争解決が施行されて以来増加し続けています。(詳細はこちら⇒厚生労働省平成20年度個別労働紛争解決制度施行状況)。特に平成20年度は増加幅が大きく、民事上の労働紛争相談件数は制度施行時の倍近くとなっています。
増加する労働紛争の背景には以下のような事柄が考えられます。

労働者優位な法改正 不当な労働から労働者を守るために、労働者優位な法改正が続いています。
労働者の権利意識の高まり 労働者優位な法改正に伴い、労働者が以前より自分たちの権利を主張する傾向が強まっています。
価値観の変化 労働者の価値観が、年功序列、愛社心、会社のためにの昭和的・温情的な価値観から、成果主義、職種の選択、労働環境の重視などの合理的価値観に変化しています。
大不況 リーマンショック以降の大不況により痛手を受けた多くの企業が、人員整理や賃金カットに踏み切りました。

 

★増加した労働条件の引き下げ
相談内容の内訳をみると、解雇に関するものが25.0%で最も多く、労働条件の引下げに関するものが13.1%、いじめ・嫌がらせに関するものが12.0 %と続いています。解雇、労働条件の引下げ、退職勧奨等に関するものの割合が特に増加しており、不況の影響をもろに受けた形となっています。

解雇(25.0%) 解雇をするには客観的に合理的かつ社会通念上相当とされる理由が必要です。不況の影響が大きいとはいえ、この条件を満たさない解雇は許されません。
労働条件の引き下げ(13.1%) 労働条件を引き下げるには労働者の同意が必要なケースが多いです。一方的な条件引き下げは違法とされることが少なくありません。
いじめ・嫌がらせ(12.0%) いじめ、嫌がらせについては経営者によるものと労働者によるものがあります。どちらも解消するための対策が必要です。

 

★労務管理の必要性
もはや、昔からの成り行き管理やその場しのぎの管理を続けるには限界があります。労働者は特に法律に保護されているため、権利主張がしやすい環境になっています。この状況だけを見れば、全てが労働者優位に感じられますが、職場の管理をしたり、ルールを作るのは経営者です。法律の範囲内でベストだと考えられるルールを作成し、運用すれば問題発生の確率は減るでしょう。
経営者は法に沿った適切な職場ルールを作成し、そのルールを徹底するための職場教育を実施し、そのルールに基づいて職場の管理をすることで余計なトラブルに巻き込まれずに円滑な経営を推進できます。

※労使トラブルをなくすためには・・・

1.適正な職場のルール作り 法律に沿いかつ自社に最適なルールを作成します。労働基準法で10人以上の事業所に作成義務がある就業規則を作るのがベストです。
2.教育 作ったルールを従業員に周知します。働く上でのルールを浸透させます。もちろん経営者も模範となるように率先してルールを守る必要があります。
3.適正運用 ルールに基づいて適正に運用します。

具体的なルール作りのポイントは?
どういった教育をするのか?
については今後のブログで連載させていただきます。

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あおいマネジメントサービス代表
森崎和敏